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東京高等裁判所 昭和55年(行ケ)333号 判決

一 原告主張の請求の原因一及び三の各事実(特許庁における手続の経緯等及び審決の理由の要点)については、当事者間に争いがなく、その争いのない本件意匠の構成によれば、本件意匠の要旨は同二記載のところにあるということができる。

二 そこで、審決取消事由の存否について検討する。

(一) いずれもその成立に争いのない乙第一、二号証の各一、右乙第一号証の一の一部の写真であることに争いのない乙第一号証の二の<イ>、<ロ>、<ハ>、<ニ>、<ホ>、<ヘ>、<ト>、右乙第二号証の一の一部の写真であることに争いのない乙第二号証の二の<イ>、<ロ>、<ハ>、<ニ>、及び証人清水敞也の証言によれば、引用例一及び二は、いずれもアメリカ国のミルトン・ブラツドレイ社の系統であるドイツ国ミルトン・ブラツドレイ社で発行され、引用例一は一九七二年(昭和四七年)五、六月ごろには日本国はじめ各国の販売代理店等に送付されたものであり、引用例二は遅くとも一九七三年(昭和四八年)二月一〇日までにドイツ国ニユールンベルクで開催された国際見本市会場において一般に配布されたものであることが認められ、右認定を動かすに足る証拠はない。

そうすると、引用例一及び引用例二が遅くとも本件意匠の登録出願の前年である昭和四八年には外国又は国内において頒布されたとする審決の認定に誤りのないことは明らかといわなければならない。

(二) そこで、本件意匠と引用意匠との類否について検討する。

本件意匠の要旨は、前記のとおり、「本体を二等辺三角形状板体とし、その平、底面には格子状にそれぞれ二八個、二一個の円柱状突起を垂直に設け、本体の背面には八個一列、左側面には一一個一列、右側面には一四個を二列にそれぞれ水平状に前記円柱状突起を設けたもの」ということができる。

これに対し、前記乙第一、二号証の各一、乙第一号証の二の<ハ>(別紙写真(一)参照)及び乙第二号証の二の<イ>(別紙写真(二)参照)によれば、引用意匠は、「本体を二等辺三角形状板体とし、その平面には格子状に三六個の円柱状突起を垂直状に設け、その平面の周囲を僅かに起立させて低い周枠を形成させ、本体の周面には、一列に横九個及び一三個、二列に一八個の円柱状突起を本体と水平に設けているもの」と認められ、右乙号各証と引用意匠が円柱状突起を互いに組み合わせて使用する組み立ておもちや用ブロツクにかかるものであることとを合わせ考えれば、その底面も、周枠の有無は明らかでないが、円柱状突起については、審決認定のとおり約三〇個ないし約四〇個を垂直状に設けているものと推認するに難くない。

そして、本件意匠と引用意匠とを対比すると、両者は、各面における円柱状突起の数に差異があり、平面又は平面と底面の周縁に周枠があるかどうかの差異があるほかは、全く共通しているということができるところ、円柱状突起の数の差異が全体的な別異感を生じさせるほど顕著とはいえず微差にすぎないことは、審決説示のとおりとみるのが相当であり、また、周枠の有無の差異についても、引用意匠におけるそれが前認定のとおり周縁を僅かに起立させて形成した低いものである上、両意匠は組み立ておもちや用ブロツクにかかるもので、看者は、係合に使用する円柱状突起の態様から強い印象を受けるべきものであるから、全体的観察において別異の意匠と感じさせるほど顕著なものということはできない。

原告は、円柱状突起の長さと本体の厚さとの比においても両者の間に差異がある旨主張するが、前記争いのない本件意匠の構成(別紙図面参照)と前記乙号各証とを対比しても、両者の間に原告主張のような差異はないと認められるから、右主張は採用できない。

以上のとおりであるから、本体の形状、その周面の円柱状突起の配列及び表現態様について全く共通している本件意匠と引用意匠とが全体として類似しているものというほかないことは、審決説示のとおりであり、審決の判断に誤りはない。

なお、原告は、意匠の登録例をあげて周枠の有無が大きな影響がある旨主張するが、右主張が採用できないことは、この点に関する被告の主張のとおりである。

三 よつて、審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却する。

〔編註その一〕 本件登録意匠に関する事項は左のとおりである。

一 特許庁における手続の経緯等

原告は、意匠に係る物品を「組み立ておもちや用ブロツク」とし、昭和四九年九月五日登録出願、昭和五一年一一月一六日登録された別紙図面表示の意匠についての登録第四四二九七八号意匠(以下「本件意匠」という。)の意匠権者であるが、被告が、昭和五三年一〇月二三日、特許庁に対し、本件意匠について登録無効審判を請求したところ、特許庁は、これを同庁同年審判第一五五九九号事件として審理した上、昭和五五年九月三〇日、「本件意匠の登録は、これを無効とする。」旨の審決をし、その謄本は、同年一〇月一〇日原告に送達された。

二 本件意匠の要旨

本件を二等辺三角形状板体とし、その平、底面には格子状にそれぞれ二八個、二一個の円柱状突起を垂直状に設け、本体の背面には八個一列、左側面には一一個一列、右側面には一四個を二列にそれぞれ水平状に前記円柱状突起を設けたもの。

〔編註その二〕 本件に関する意匠は左のとおりである。

別紙図面

<省略>

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